交通流シミュレータと人の行動変容モデルの組み合せ

顧客 : 製造業事業者様

課題

新工場建設による通勤渋滞の緩和策検討

お客様は生産体制増強の一環として新工場の建設を計画されていましたが、自家用車での出勤・退勤による交通渋滞が起きることが予想され、地域の交通に及ぼす影響をできるだけ低減することが求められていました。渋滞の程度や、事業者側で検討した緩和策に従業員がどの程度協力してくれるかなど不確定な要素が多くあり、有効な渋滞緩和策を工場稼働前に検討することに難しさを感じておられました。

ソリューション

人の行動変容モデルをマルチエージェントシミュレーションで構築し、交通流シミュレータと連携

事業者が呼びかけた渋滞緩和の誘導施策に応じる通勤者の行動変容を模擬するマルチエージェントシミュレーションを構築し、交通流シミュレータ PTV Vissimに組み込みました。これにより、様々な施策を実施したときに交通流がどのように変化するかシミュレーションすることができ、施策の効果を事前に評価することが可能となりました。

用語解説

マルチエージェントシミュレーション (MAS)

複数 (マルチ) のエージェント (人間など、自律的に動く要素) に対して、各々の行動や意思決定のルールを設定し、互いに同時並行的に影響を及ぼしあいながら行動する様子を時系列で模擬するシミュレーション。

エージェント・ベース・シミュレーション (ABS) やエージェント・ベース・モデリング (ABM) と呼ばれることもある。

施策評価のアプローチ

  1. 渋滞緩和のための誘導施策 (ライドシェア、時差通勤、バスの利用促進など) に関連したアンケート調査を実施。
  2. アンケート結果を基に、誘導施策を実施した場合の通勤者の行動をマルチエージェントシミュレーションでモデル化。
  3. 交通流シミュレータPTV Vissimを用いて、工場建設予定地の 10 km 四方の道路状況をシミュレーション上に再現。
  4. 通勤者のマルチエージェントシミュレーションと交通流シミュレータPTV Vissimを連携させ、通勤者の行動選択結果を交通流に反映
  5. 施策によって渋滞がどの程度緩和するか定量化

今後の展望

将来的には、天候や渋滞のリアルタイムデータをもとにユーザのリアルタイム誘導 (信号制御など) を行った場合の効果の評価など、より高度な施策の評価を検討しています。

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