お客様の研究とOR部による解決

事故発生時の安全性を確保したい →  シミュレーションによる評価システムを提供

劇場は、一度に大人数を収容する空間であり、避難時には人の滞留が発生しやすく 避難には多くの時間がかかることが想定できます。そのため、設計段階で 安全に避難するための劇場のドア位置、枚数、通路幅などを検討し、 リニューアル工事に反映させることが求められていました。また、指針に基づく静的な評価では、劇場のような特殊な環境下での避難が 正しく評価できるとは言えないため、劇場の設計情報や、人の歩行をモデリングし、 シミュレーションを行うことで、避難の観点から施設の安全性を評価することを実現しました。

全人員の避難時間を評価したい →  人の特性を考慮するモデリング

避難する人には、様々な特性を持った人がいます。 例えば、車椅子を利用する方がいる場合には、歩行スピードや歩行に必要な幅、 前後の人との間隔などの条件をそれぞれ考慮しなければなりません。そのような避難する人の特性をモデルに取り込み、画一的ではない避難状況を評価できるようにしました。

設計情報の取り込みを楽にしたい →  CADデータを活用できるシステム構築

施設の設計情報はCADデータを流用する仕組みを設けました。これは、 他の設備においても簡単にシミュレーション評価が行えるようにするためです。 CADデータを元に、シミュレーション独自の情報(歩行速度情報等)を 簡単に設定できるようにしたことで、システムの汎用性を実現しました。

解決までの手順

ヒアリング。どのようなモデルが適切か?

避難行動に影響し、設計上自由度のある項目を洗い出し、モデリングの対象範囲を整理し、 避難行動を評価するためのモデル、およびシミュレーションモデルを検討しました。また、劇場内では、人の滞留が大きな問題になることが想定されるため、 幅が十分にある通路、人が密集した通路、ドア位置の通過、階段など場所の特性に合わせた歩行を 表現できるようなモデルを構築いたしました。

避難シミュレーションシステムの開発

施設内の避難シミュレーションをシミュレーション分析、評価するシステムを構築しました。 シミュレーションの開発については、既存パッケージの VisualSLAMを用いることで、 開発期間の短縮および品質の向上を実現しました。また、システムとして汎用性を持たせるために、CADデータの取り込み機能も用意しました。

結果の評価

約1000人を収容できる2階層の多目的ホールに対して、シミュレーション分析、評価を実施しました。 その結果、避難完了最終時間は、防災計画指針で定められているよりも小さい値であることがわかりました。さらに、避難が完了する人数の時間推移も得られるため、防災上の特徴も把握することができました。 これにより、劇場の運用時の避難訓練や係員の教育に役立てることができました。

関連事例

病院避難における避難シミュレーション

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