過去データのない新築物件でも数理計画法により最適な運用が可能

顧客 : 空調・エネルギー機器専門商社様

課題

近年、気候変動対策や災害時のエネルギー源確保の重要性がますます高まり、大規模な事業所や商業施設へのソーラーパネル・蓄電池・蓄熱槽・コジェネレーションシステム・自家発電システムなどの導入が進んでいます。
このような設備を有効に活用するには、翌日以降の日射量予測や電力・エネルギー需要予測を考慮して、日々の設備運用計画を作成・更新していくことが重要です。
従来、大規模施設のエネルギー設備運用は資格を持ったエネルギー管理者が担ってきましたが、蓄電池などの複雑な運用を伴う設備や予測項目の増加のために計画作成業務が高度化し、効率的な運用が難しくなっています。特に新築物件では、需要見積もりに活用できる過去データの蓄積がないため、エネルギー管理者の経験と技量に頼るところが大きくなってしまいます。

ソリューション

最適な設備稼動計画を算出するエネルギーマネジメントシステム (EMS)

エネルギー需要を賄いながら、自設備を最大限活用し、電力会社からの購入電力量をできるだけ抑えた最適な設備稼動計画を算出するエネルギーマネジメントシステム (EMS) を構築しました。
EMSは下記3点を自動で行います。

  • 気象予測データの取得
  • 翌日のエネルギー・電力需要や太陽光発電量の予測
  • 数理計画法に基づき各設備の運転計画案の作成

ポイント1. 過去データのない新築物件でも、類似施設のデータを活用して予測

新築物件の場合は、既存の類似施設のエネルギー需要データから季節・曜日・時刻・フロア用途別のエネルギー消費傾向を抽出し、対象物件の予測に活用します。エネルギー管理者は、自動作成された予測や計画案を確認し、イベント時など必要に応じて修正を加えます。各物件に導入されている設備の細かなスペックもEMSに組み込み、新築の実物件への導入・運用を実現しています。

ポイント2. 数理計画法に基づく運転計画案の作成

過去の運転実績の機械学習やパターン分けによる計画作成では、作成された計画案がベストなのか、それとも改善の余地があるのか、評価が難しいケースが多くあります。一方、数理計画法を用いると、一定の最適性が数学的に保証された計画案を自動作成することができます。これにより、エネルギー管理者の確認および修正作業を最小限に抑えるつつ、施設全体の最適な運用を実現できます。

エネルギーのオペレーションズ・リサーチに関するお問い合わせ

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