設備費と運用費が最小となる設備容量を自動算出し、保守・修繕も簡単に検討

顧客 : 大手ゼネコン様

課題

近年、建築物や街区の設計において、CO2排出量削減を考慮するニーズが高まっています。一方で、排出量削減に寄与する設備(ソーラーパネル・蓄電池・貯湯槽・省エネ空調システムなど)はまだまだ高価なものが多いのが現状です。
導入する設備やスペックを決めるためには、導入コストや保守コストに加え、設備の特徴や構造上の制約を考慮する必要があり、適切な組み合わせを決めるのは難易度の高い検討となっています。

ソリューション

再エネ・蓄エネ設備 導入検討ツール

日々の運用を模擬するエネルギーマネジメントシステム(EMS)シミュレーションと長期保守計画シミュレーションの2つを組み合わせた検討ツールを開発し、当面の設備費、運用費が最小となる設備容量の算出と、その後の保守・修繕タイミングの検討を簡単に行えるようにしました。

①エネルギーマネジメントシステム(EMS)シミュレーション

EMSシミュレーションではまず、電力や熱の需要、検討対象となる設備のスペック、中央/分散熱源の選択、熱源・配管・需要等のネットワーク関係などを入力データとして準備します。
入力データに基づいてシミュレーションを実施することで、設備導入費と運用費の合計が最小となる設備構成が算出されます。シミュレーションの内部では、電力や熱の需給一致や、熱源・配管・需要などのネットワーク関係を考慮できます。シミュレーションの結果からは、各設備の利用率などを算出できます。
事前にシミュレーションで検討しておくことにより、「高価な設備を導入したが結局あまり使われなかった」といった事態を予防することができます。

②長期保守計画シミュレーション

長期保守計画シミュレーションでは、EMSシミュレーションで決めた設備構成に基づいて数十年のシミュレーションを行い、大規模修繕や設備更新のタイミングを予測します。シミュレーションの際には、機能があるレベルまで低下したら修繕、耐用年数を迎えたらリプレイス、などの方針を設定します。また、各年のCO2排出量はどの程度か、20XX以降の設備リプレイスでは新型設備に置き換えるようにするとどうなるか、など様々なシナリオで費用と効果を比較することができます。これにより、施主やオーナーの要望に合わせて、適切なプランを定量的に提示することが可能となります。

成果

この検討ツールを活用することで、検討1件当たりの作業量を大幅に削減でき、プラン変更が生じてもすぐ再検討できるようになりました。将来想定やプラン変更が生じやすい初期検討の段階から設備検討を平行して進めることができ、全体的な設計期間の短縮に繋がりました。

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