OR(オペレーションズ・リサーチ)とは
オペレーションズ・リサーチって何?
オペレーションズ・リサーチ(以下OR)はもともと、第二次世界大戦中にイギリスが軍事研究として使ったのが始まりとされています。
オペレーションは作戦、リサーチは検証、という意味です。互いに干渉しあう複数の作戦が最適な方法で効率的に実行可能かどうかをリサーチ、つまり検証する、そういう目的で使われ始めた科学でした。様々な環境、次々に変化する状況において、 数学や統計学を用いた数理的なモデルに落とし込み、分析することで最適なアプローチを導きます。
もちろん、現代では戦争だけではなく、ビジネスや学術研究などあらゆる場面やオペレーションの検証にORは使われるようになりました。
ORは、どう役立つか?
これまでは、理論上では解ける問題であってもその規模によっては多くの計算が必要となり、高速なコンピュータを用いたとしても現実的な時間では解けないことがありました。
しかし近年では、コンピュータの飛躍的進歩により多くの問題が解けるようになってきています。
このため、複雑化する現代社会において様々な分野でORが利用される場面が増えてきています。
私たちは、「設計、製造、物流」、「情報通信」、「インフラストラクチャー」などを中心に、多様な分野でORによる問題解決を行ってきました。
世界各国で積み上げ、積み下ろしをする貨物船に、いかにしてたくさん、しかも効率よく、そして重心を安定させて貨物を積むことができるか。工場に設備投資をする際、ボトルネックを解決し全体の生産性を上げるためにはどうしたらよいのか。
また近年では、サービス業のシフトスケジューリングなど、属人的要素の多い分野に対してORを適用した解決策を見出す等、解決できる問題は拡大しています。
こんなところにもORは使われています
- 電車乗り換えシステム(最短時間、乗り換え回数、一番安い金額での目的地への到着方法など)
- 学校時間割作成(担当教師と、使用する施設とを組み合わせて矛盾なく決める)
- 銀行の窓口の数(利用客に合わせて、営業窓口の数を決める)
KKEにおけるOR部の歴史
日本で最初にORが使われたのは戦時中であり、1957年に日本OR学会が設立します。
株式会社 構造計画研究所(以下KKE)では、1974年にOR部の前身であるOR研究室が誕生します。 きっかけは、お客様からの“将来起こりうるかもしれない事象への悩み”に対して、ORの中のシミュレーションを用いた解決方法を提案し、その結果を評価していただけたことでした。 このような悩みは他業界にもあり、情報通信分野のお客様、そして製造分野のお客様からもORを用いた解決策に高い評価をいただいたことが機となり、年々多くの分野のお客様から相談をいただくまでになりました。
相談内容には、“ORを用いると良い解決策があるはずだ”というものばかりではなく、“なんとかして求められないだろうか?”と言った場合もあります。
そのような場合においても、ORにある数理計画法、確率モデル、待ち行列、スケジューリング、DEA(*)、シミュレーション等を用いてお客様に見合った最適な解決策を提案してまいりました。
このように私たちは、皆さまに応じた“最適”を実現するために、ORを用いたソリューションを提供しています。 そして、お客様の抱えている悩みに対して、KKE内部の様々な業界のエキスパートと協力し広い視点で最適な解決策を検討していくことで、他にはない付加価値の高いソリューションを提供することができます。
KKEの様々な技術とORの連携
災害発生の対策シミュレーション(防災技術×OR)
KKEの防災技術によって災害発生時の建物・道路被害想定値を算出。さらに、実際に物資・人をどのように配送・搬送するとよいかをシミュレーションできるシステムをORで開発。
現実問題としての対策レベルにまで落とし込んだシミュレーションを可能としました。
通信ネットワークシミュレーション(通信システム×OR)
OR技術を盛り込んだアルゴリズム(エンジン)をネットワークシミュレーターに組み込みシミュレーション機能を拡大しました。
航空貨物積載シミュレーション(可視化×OR)
OR技術によって算出した最適な積み付け方法を3D画面で可視化。積み付け計画者にわかりやすいシステムを構築しました。
*…DEA (data envelopment analysis):経営分析手法の一つ。 最も優れたパフォーマンスを示した事業体(企業)を基に“効率的フロンティア(最小分散境界上で同一のリスクのもとにおける、最大の期待収益率をもつポートフォリオの集合のこと)”を計測し、このフロンティアを一つの指標として他の事業体の業績評価、効率値を測定する方法論のこと。