1. 概要

機器導入の事前検討や時間がかかっている作業を抽出し、改善の目標設定がスムーズに行きました。

お客様は倉庫事業を手がけていらっしゃいますが、作業時間・コストの可視化や定量的な分析に課題を抱えていらっしゃいました。 構造計画研究所は倉庫内のラインや作業をモデル化し、シミュレーションによって倉庫内の作業の流れをパソコン上に再現しました。 その結果、機器の導入にかかる費用と作業時間の削減によるコストダウンとを事前に定量的に比較できるようになりました。 また、特定の顧客からの独特な要望への対応に作業時間が取られていることも定量的に示すことができ、顧客との価格交渉の有効な材料も得ることができました。

これまでは、時間とコストの定量的な評価ができないことにより、倉庫への最新機器導入検討および作業見直しの際に判断基準がない、という点に悩みを抱えていました。 シミュレーションによって最新機器を入れる前後の倉庫内の動きや、様々な作業にかかっている時間や効率を定量的に分析することで、 しっかりとした判断基準を持ったうえでの改善活動推進が可能になりました。

2. 課題

定量的な検証に基づいた改善の判断ができていない。

倉庫事業を手掛けるM社様は、顧客からの需要に応えるため全国に新規倉庫の建設を検討していました。新規倉庫には最新ロボットの導入を検討されていらっしゃいました。 しかしロボット導入によるメリットを定量的に検証できておらず、導入するか否かの判断が難しい状態でした。

一方現場では、荷主からの独特な要望によって日々の倉庫業務が非常にハードになることがありました。貨物が重く、壊れやすいため、慎重な作業が必要になり、現場の負荷が大きくなってしまいました。 荷主との契約の内容を見直したいと考えておられましたが、価格交渉のために提示できる具体的な交渉材料がないことに悩んでおられました。 交渉のためには、どの作業が特に大変で、他の顧客との作業に比べてどう異なるかを具体的に示す必要がありました。>

3. ソリューション

倉庫作業の様子をコンピュータ上でシミュレーションし、効果やボトルネックを検証。

構造計画研究所は最新ロボットを導入した場合としなかった場合の倉庫作業ラインをモデル化し、倉庫内の貨物の動きや作業の様子をシミュレートしました。 シミュレーション結果から各作業の所要時間を算出することにより、機器導入コストを上回るコストダウン効果があるのか分析を行いました。

同時に、人手による作業もモデル化してシミュレーションを実施しました。倉庫内の作業を分割し、各作業間の関係性も考慮しました。 作業の所要時間や特に時間がかかっている作業を抽出し、顧客との交渉において説得力を発揮するデータを提供することができました。

4. 成果

シミュレーション結果から定量的な分析を行い、戦略的な改善方針が策定されました。

シミュレーションによる比較の結果、最新ロボットを導入すると人手による作業時間を大幅に削減できることがわかりました。 しかし、作業時間の削減分を定量的に評価すると、設備投資分の回収に10年かかることも明らかになりました。 一方で、いくつかの作業に改善の余地があることも明らかになりました。非常に負荷がかかっている作業に対する見直しや、負荷軽減のための別の機器の導入が新たに検討に上りました。 新たな機器を想定したケースのシミュレーションを行い、当初のロボットよりもコスト的に安価で済む改善の結果が得られ、 今後は戦略的に機器を導入していく新たな方針を策定することができました。

また、ある作業ではベテランと新人で大きく所要時間が異なることが分かり、標準化の必要性が初めて認識されました。 倉庫内作業についての情報が整理できたことにより、荷主とのコミュニケーションの粒度も向上し、荷主も含めた全体での改善への大きな一歩になりました。